
「then」は、英文中でよく目にする単語です。なので、あまり抵抗を持つこともないでしょうが、文法でこの品詞を問われたときにちゃんと答えられる人は多くはないでしょう。
英語の学習がある程度進んでくると、文章の構造の捉え方が大雑把になり、その単語にはない使い方まで「あるように」勘違いしてしまいます。「then」は知らずうちに使い方が適当になりやすいので、ここでしっかり確認しましょう。
「then」は接続詞としての使い方はあるの?
まず「then」の意味と品詞を確認しましょう。
「then」は副詞で「そのとき」「その後」「その結果」「それなら」などの意味があります。
「then」は形容詞で「そのときの」などの意味があります。
「then」の品詞は基本的には副詞であり、多くはないものの形容詞としても使われることがあります。よく「then」には接続詞の使い方もあると思われがちですが、「then」には接続詞としての使い方はありません。
では、なぜ「then」に接続詞の使い方があると思ってしまうのか。それは、英文の中で「then」が接続詞のように使われているように見えるからです。
例文1
Sometimes question is easy, then it is difficult.
(時々問題が簡単になるかと思えば、そのあと難しくなる)
このとき、副詞であるはずの「then」が「Sometimes question is easy」という文と「it is difficult」という文をつないでいるため「then」は接続詞ではないのかと思ってしまうのです。
ですが、「then」はやっぱり副詞なのです。では、こうした文の構造はどう理解したらよいのか。答えは「and」や「but」といった接続詞が隠れているだけと考えてください。
英語では、文章の前後の流れがはっきりわかる時には「and」や「but」は省略されることがあります。
例文1では「Sometimes question is easy(時々問題が簡単になる)」と「it is difficult(難しくなる)」という文章は互いに反対のことを意味しているので、省略された接続詞は「but」となります。
「but then」という成句で「だがしかし」「でも」という意味の接続詞になるのです。つまり、例文1は例文2のように表記されるべきでした。
例文2
Sometimes question is easy, but then it is difficult.
ただし、この「then」の接続詞的な使い方を説明するにあたっては、解釈の方法が定まっていなく、接続副詞というワードで解説されることもあります。
ここでいう接続副詞は、副詞であるのに等位接続詞と同じく、節と節、文と文をつなぐ単語のことです。「then」の他に「so」「still」「yet」などがあります。
こうした解釈で「then」の働きを説明するのも正しいと思います。ただし、接続副詞と捉える場合、また新たな品詞の存在を覚えることになり、面倒事が増えるのも事実です。それに、教科書によっては接続副詞という解釈方法を採用しておらず、英語指導の中でもバラつきがあります。
なので「接続詞は省略される場合もあって、thenが単独で表記されているけど副詞であることは間違いない」と解釈するほうが負担になりにくいと思います。
- 「then」には副詞と形容詞しかない
- 「then」は接続詞に見えることがあり、そのとき「then」は副詞として使われている
副詞としての「then」の使い方
それでは「then」が副詞としてどのように使われているかを例文で見ていきましょう。
例文1
Paul was still a lack of experience then.
(当時ポールはまだ経験不足だった)
例文2
John arrived in Paris, and then departed for Milan.
(ジョンはパリに付き、それからミラノへ出発した)
例文3
A:I left my smartphone here.
(私はここにスマホを置いていったんだ)
B:Then, it must be there.
(それなら、ここにあるはずだ)
例文4
If Tom joins the party, then I will join it, too.
(トムがパーティーに参加するのであれば、それなら私も参加する)
「A then B」(AそれからB)のように「then」の前後で流れができています。自分が書き手で、読み手に流れをはっきり示したい時には「then」を使うとより読みやすくなります。
形容詞としての「then」の使い方
「then」を形容詞として使う場合は少ないです。
学説や地位・役職の前につけて、「then orthodox」(当時の学説)、「then mayor」(当時の市長)などと用いることが多いです。