
英語の勉強に「英字新聞を読むのが良い」と勧められたことありませんか?
通常、英語の勉強はリーディングから入っていくことが多いので、学んだ英語読解の知識を本場の英文で活用し、英語能力を高めることは効率的な学習方法と言えます。
それでは、「英字新聞を読む=英語力向上」という構図は必ず成立するものなのでしょうか?
私も英語を少しでも読めるようになりたくて英字新聞を買って読んでいた経験があるので、今回はこの点を経験も踏まえて考えていきたいと思います。
英字新聞を読むことは効率的な英語の勉強方法なの?
英字新聞は英語の勉強を進める上で効率的な手段なのか?
答えは「必ずしも効率的な手段とは成りえない」です。
これは英字新聞を読むことを否定しているのではありません。私はむしろ英字新聞が英語学習に効果的な手段と考えています。脈絡のない短文の英語で機械的に学習するよりも、流れのある英字新聞を読むことの方が実践的な英語に触れられるので、必ず学習者にとってプラスになるからです。
問題は「効率的な」勉強になるのかどうかという点にあります。
英字新聞を読むことは思っている以上に労力を伴う作業です。学習者の英語習得度合いにもよりますが、1つの新聞記事だけでも自分が今まで見たことのない単語や構文には必ず出くわします。そんなとき、よく「立ち止まらずに文脈から推測して読み飛ばせ」といったアドバイスがなされますが、読み始めの頃は気持ちでは理解していても実践することは実際容易ではないことがほとんどです。実際、私も分からない単語に出くわしては立ち止まり、全然先へ進めず辛い思いしかなかったことがありました。
こうして、立ち止まっては進み、また立ち止まってを繰り返して読んでいくようになると、時間をかけて読んだにも関わらず、途切れ途切れに読んだために内容が分からずじまいになってしまうことがあります。さらに学習意欲自体も低下してしまうと悪循環にはまってしまいます。New York TimesやBBCといった海外で通常出回っている新聞であれば、こうした結果になる可能性はずっと高くなります。
それでも、努力を重ねて英字新聞を何とか早く読めるようになる可能性ももちろんあります。しかしそのときでも、自分の学習目的から外れた英文を読み続けては「効率的な勉強」には成りえません。
例えば、将来海外で化学分野の研究職に就きたいと考えている人がいます。そのために必要な英語学習は空き時間で効率的に行おうと考え、英字新聞を読み続けました。しかし、趣味の野球記事のみを読んでいたため、野球関連の英文は理解できるようになりましたが、化学分野に関する英文は読めるようにならず、自身の将来に役立てられない結果となってしまいました。
極端な例ではありますが、学習目的と実践内容を誤ると結果的に非効率な学習方法となる。それが「英字新聞を読む」上でのリスクです。
英字新聞で英語の勉強をする方法について
前章の前半部分で申し上げた通り、英字新聞を読むことは英語学習者にとってメリットになります。そして、英字新聞を読むことは効率的な学習手段とすることも可能です。それでは、どのように英字新聞で勉強していくのが良いか。それには以下の5つのポイントがあると考えます。
英語で活かしたい分野の内容に絞る
まず、「英語を勉強する目的は何なのか」を思いだして新聞記事を選ぶことから始めるべきです。先ほど例として紹介したように、しっかり目的があって英語を勉強しようと始めたのに、その目的から逸れた新聞記事を読んでは、自分の努力を無駄なものに思ってしまうからです。
学習目的は何だってかまいません。「外国人と話せるようになりたい」と思えば、自分の周囲にいる外国人の出身国や地域の新聞記事を読んでみたり、趣味など個人的なことが分かるならそれに関連した新聞記事を探して読めばよいのです。そうすることで、昨日よりも今日の方が会話が長続きしたと実感でき、自分の努力を誇れるようになります。
平易な文章から始める
次に、「無理をしない」ことを大切にして新聞記事のレベルを選びましょう。
私もそうでしたが、目的をしっかり考えれば考えるほど学習意欲が高まりますが、高度な英字新聞を読もうとしてしまいがちになります。ですが、先に書いたように、英字新聞を読んできていない方が初めからネイティブが読むような英字新聞を読むと、それだけ挫折・落胆する可能性も高いです。
そこで、まず「自分が知っている内容」や「優しすぎる・短すぎる」と思うくらいの英語記事から読んでみましょう。このとき、新聞記事の長さは200字程度の短いもので良いので、1記事をしっかり読んでみましょう。そして、この「優しい」と思うレベルの新聞記事では、分からない単語や構文があったらなるべく調べてみることをお勧めします。「うやむやにせず1記事ちゃんと理解して読めた」という事実を増やしていくことで、自信につながるからです。
だたし、調べすぎてはいけません。時間をかけず、「こういう意味だったか」と確認程度で十分です。
読み返す
新聞記事を見つけて読んでみたら、もう1度読み返す癖をつけると良いです。このとき、厳密に読み返すのではなく、1回目よりも気持ち早めで読み返し、全体を俯瞰するイメージで行うと良いです。そうすることで、文章の構成・流れが大まかにでもつかめるようになり、文の展開を予測できるようになります。この積み重ねがあって、難易度の高い単語や構文に当たっても、予測が効くようになるのです。
また、これは時間があったらでよいのですが、読んだ新聞記事と同じ内容のものを別の英字新聞で読んでみるのも英語表現の幅を広げる上で効果があります。
毎日続ける
そして重要なのが、「継続性」です。英語は日本で勉強する限り、英語に触れる機会が圧倒的に少ないです。つまり、自分で意欲的に英語に触れる努力をしなければ英語能力は向上しません。また、スポーツに限らず何かを一生懸命やったことのある方なら想像いただけると思いますが、1度勉強したものは反復しなければ時間と共に忘れられていきます。私は英語も同様と考えています。
定期的な時間を必ず毎日設ける必要はありません。10分でも良いので連続した読書時間を設けられると良いのですが、それができなくても、読む範囲に区切りをつけて1つ1つ丁寧に読んでいけば勉強を疎かにせず、毎日勉強することは可能です。
大切なのは、少しでも良いので「毎日継続して読み続ける」ことです。
声に出して読む
これはできたらで良いのですが、英字新聞を自分の声で音に出して読めるとリスニング・スピーキング力の向上にも効果があります。
頭の中で読むのと、実際に声に出すのでは読むスピードも発音も違ってきます。これはやってみると違いがでてきます。
おわりに
英字新聞を読むことは英語の能力をアップさせるのに効果的です。また、学習方法次第で英字新聞を読むことは効率的な英語の勉強方法にもなります。